『塩の街』(有川浩:メディアワークス電撃文庫)

塩の街』(有川浩メディアワークス電撃文庫)を読了。

第10回電撃小説大賞の大賞受賞作。
割と期待していたのだけれど、

〜〜〜
巨大な塩の塊が世界各地に降ってきた近未来。
その落下と時を同じくして人体が塩に変わってしまう災害が起きるようになる。
東京湾に落ちた500メートル級の結晶のために
政府要人がほとんど塩になってしまった日本は
マスコミなどの機能が麻痺していたり
ライフラインの確保で精一杯だったりと
半ばパニック状態であった。
退役した自衛隊パイロット秋庭と
両親を塩害で亡くした少女真奈は
共同生活を送っていた。

ある日秋庭家に友人の入江がやってくる。
彼は身分を偽って自衛隊立川駐屯地の司令に成りすまし
何一つ対策を取れていない政府にかわって
東京湾の結晶と塩害の関係を調査していた。
塩害を止めるためには結晶破壊してしまわねばならないということをつきとめた彼は
秋庭に結晶破壊作戦への参加を打診する。

パイロットとして結晶破壊作戦を行う秋庭と、
それを見守る真奈の運命は…
〜〜〜
という感じのストーリーでした。


設定は非常に良いですね。
塩害の世界はすごかった。

が、割とそれだけだったり。
キャラクタはそんなに濃くなかった。
ストーリー展開はまあいいとしても
それに心情が追いついていってない気がする。
真奈が秋庭に対して抱く気持ちの動機づけがおろそか過ぎるような。
浮いてしまった印象が拭えないなぁ。

話の中身は前回大賞のキーリに近いかも。
文章はキーリの方が良かったし
キャラもキーリの方が良かった。
雰囲気は互角というところか。
”塩”のとりえはホントに設定だけのような気がしてきたぞ…


ともあれまだデビュー作なので
続刊に期待。