『ROOM NO.1301 #2 同居人は×××ホリック?』(新井輝:富士見書房:富士見ミステリー文庫)ISBN:4829162600

ROOM NO.1301―おとなりさんはアーティスティック!? (富士見ミステリー文庫) ROOM NO.1301〈2〉同居人は×××ホリック? (富士見ミステリー文庫)
両方読了。
自分がモテないと思いこんでいた美形でちょっと流されやすくて料理が巧い高校生絹川健一は、ある日クラスメイトの大海千夜子から告白される。だが、健一は告白されたにも関わらず、別の女性と関係を結ぶことになり……
ストーリーだけ見ると頭のユルくてエロいただのラブコメなんだけれど、プロローグで“数年後の視点で過去(作品本編の時代)を思い返す”という構成がツボ。エヴァの2次創作でこういうの結構あったんじゃないかな。それに嵌まってた時期があるので好き。
ストーリーは、違和感があるんだけれど面白かった。結局私の視点は、“この本編からどうやってプロローグに行き着くんだ!?”というモノになってしまうのだけれど、それを除いたときに、彼女以外の女性と関係を持ってしまった主人公の葛藤がそこまで描かれてないというか。愛の探求という割にはライトな感じがして違和感があった。かといって、決してダメというわけではなくて、むしろそれがいい感じに作用してる気がする。
キャラクタも、綾の、こういうキャラクタにありがちなムダに明るいところがなく、むしろ怖いのが凄くいい。一癖も二癖もあるというか。
マンションの13階という設定についてだけれど、この設定が創り出している雰囲気はいいと思う。プロローグの構成でも言ったけれど、非日常→別れ→日常への回帰ということになってるわけで、その非日常作りに成功しているような。
なんか、独特の雰囲気なんだよなあ、この作品は。シリアスかと思ったらエロいし、でもコメディにはなってないし。これだけ書いてもイマイチこの作品へのイメージが固まらない。
文章は1巻冒頭部と2巻で随分変わっているけれど、最近のほうがいいと思う。前者は独特の文章だったけれど、味があるというわけでもなかったし、読みにくいだけだったからなあ。
とにかくまだ話が動き出したばかりなのでこれからに期待。
作者の公式ページARAI STYLEには、


 続刊情報
 「#3 同居人はロマンティック?」は八月発売予定で進行中
 「#4 お姉さまはヒステリック!(仮)」は年末くらいに(希望)
とあるので、ちょっと遅いけれどいい感じに出そうですね。よかったよかった。